経験したことの無かった現象 | |
帰宅後、干していた洗濯物を取り込み、片付けた。疲れていて眠いはずなのだが、精神的に興奮状態にあるらしく、全く眠気を感じない。そのため、しばらくはサッカーワールドカップ中継を ぼんやり観ていた。 ようやく眠気を感じたので、ベッドの上で横になった。そうしたところ、不思議な現象が起きた。夢を見ていた訳ではない。思い出そうとしていた訳でもない。それなのに、今朝の立ち会い分娩の場面が頭の中をよぎった。 立ち会い分娩時の私は必死だったため、頭の中は真っ白に近い状態で、記憶は断片的にしか残っていなかった。思い出そうとしても、やはり断片的にしか思い出せなかった。だが、ベッドに横になった途端、どうしても思い出せなかった場面も含め、今朝の分娩場面が鮮明に頭の中で再生されたのである。不思議な現象だった。 時々 口にすることがあるのだが、私は女として生を受けたかった。別に変な意味で言っている訳ではなく、私には男の趣味は一切無い。 男は命を奪うことはできるが、命を生むことはできない。産みの苦しみは想像を絶するものがあるが、母親は10か月間、お腹の赤ん坊と生を共にし、母親としての実感・自覚を徐々に感じながら過ごすことができる。だが、男には それがない。 だから、知人の女性が妊娠したという知らせを受けるたび、私は ひたすら羨ましく感じた。妻が産みの苦しみに耐え続ける姿を見た今でも、その気持ちに少しの揺るぎも無い。だが、これが自分の宿命として受け入れるしかない。 出産に立ち会うつもりが無かった私であったが、今日こうして新しい命が生まれる瞬間に立ち会う機会を与えてくれた妻には深く感謝している。そう思いつつ、私にとって長い1日が終わった。 |
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